2022.02.08掲載
金色の短髪に赤いシャツ姿、これがデザイナー、赤野有希さんの定番のスタイルだ。一度お会いするだけで、その姿が完全にインプットされてしまう。相手に覚えてもらうことで、その方と「縁」を繋いでいきたいという思いがそこにある。
そんな赤野さんが、三原港を一望できるビルの3階にデザイン事務所を構えたのは、2020年10月。満を辞しての独立だった。
山々に囲まれた三原市久井町で生まれ育った。幼い頃から絵を描いたり、おもちゃを作ったりと、自ら遊びを考えるのが当たり前の環境。「ない」から「ある」を作り出す創作の土壌は、この頃に培われたのかもしれない。
特に夢中になったのが絵を描くこと。小学校、中学校とコンクールで受賞することも度々だった。高校では美術部に入部。同級生の男子部員は赤野さんただ1人の中、油絵や水彩、デッサンなどあらゆる技法に挑戦した。そして、卒業後は迷わず美術系の大学に進学。本格的にデザインやグラフィックを学び始めた。
社会人になってからは、商品開発や広告制作、サインや看板などの空間設計、デザインや印刷など、デザインに繋がるいくつかの会社に勤務。ゼロからものを作り上げていく過程で必要なことを学んだ。そして、そこで培った知識や経験が、独立への大きな足がかりになった。
立ち上げたデザイン会社の名前は「ノアカノ」。〈○○の赤野〉と、名前の前に色々な言葉が入るように、あえてそうネーミングした。
「自分のスタイルはない方がいい」そう赤野さんは話す。
デザインの答えは自分の中ではなく、常にクライアントの中にあると思うからだ。それを見極め、形にしていくのが仕事。だから、名刺やショップカードなどのデザインから、店舗の内装やブランディングまで多岐にわたる仕事ひとつひとつに、時間を惜しまずとことん向き合う。打ち合わせを重ね、一日行動を共にすることもあるほどだ。
クライアントが求めているもの、思い描いているもの、それを形にするために柔軟にスタイルを変化させていく。それが、デザイナー、赤野有希なのだ。だからこそ、「ノアカノ」の前には、常にクライアントからの求めに応じた名前が入るのだ。
現在、三原の祭りに関わったり、地元の高校生と三原の魅力を伝えたりと、生まれ育ったまちについて改めて考える機会も増えている。そんな中、赤野さんは、この先もずっと三原にいることを宣言している。地元の人たちと一緒に成長していきたいと願っているからだ。
「絵を描くのが僕の仕事ではありません。〈人の心が動く〉それが僕の仕事のゴールです。」
クライアントの思いに寄り添い作り上げた作品を通して、さらに人の心が繋がっていく、それも赤野さんが大切に思う「縁」のかたちだ。
ノアカノ
赤野有希(あかのゆうき)
広島県三原市港町3-3-5 3F
TEL.090-9507-4214
mail:noakano@noakano.jp
HP:https://noakano.jp
instagram:https://www.instagram.com/yukiakano/
facebook:https://www.facebook.com/yuki.akano.9
グラフィックデザインを中心とした、ポスター・広告・冊子・パッケージなどの企画・制作。
企業・店舗などのデザイン部分におけるブランディング、イベント会場全体のアートディレクションなどを行う。