元気もりもり森塚です！もりもりと呼んでください！

「このとってもパワフルな女性は誰なんだろう。」地元ケーブルテレビの番組で森塚佳世子さんの姿を初めて拝見したときの印象だ。笑顔と軽快なトークで視聴者を惹きつけていく。
ナビゲーターを務める番組では、地元の農産物生産者を訪ね、育てられた野菜を丁寧に紹介。さらにその野菜を使ったお手軽レシピを提案するという、〈野菜ソムリエプロ〉の資格を持つ森塚さんならではの構成となっている。
〈食を通じて笑顔と健康を創る〉をテーマにする森塚さんは、広島空港すぐそばの八天堂ビレッジ内、空の駅オーチャードにある「COCOLA3（ココラサン）」のオーナー兼、食材プロデューサーでもあり、地元の農作物や手しごと作家さんの作品を世に送り出す仕事も手掛けている。

砂田の八百屋の3代目です

生家は三原市西野にあった「砂田食料品店」、通称「砂田の八百屋」。野菜などの生鮮食品や日用品などを扱う、地元になくてはならない商店だった。商売が隣り合わせの暮らしの中で、幼い頃から自然と、仕入れのやり方やお金の流れ、商売の成り立ちなどを学んだ。
大学進学を期に地元を離れ大阪へ。卒業後はレストラン経営を行う会社に就職し総務担当となった。
「でも、私はじっと座って仕事をするタイプではないんです。すぐに会社に志願して、体を動かすレストランの現場で接客などの仕事をさせてもらいました。当時は女性がまだまだ社会で活躍しづらい時代だったので、とにかくバリバリ働いて、仕事ができるかっこいい女性になりたいと思っていました。」

現在の土台を作った沖縄での15年間

そんな森塚さんが本格的に「食」の道に携わったのは30代前半の頃。趣味のダイビングで訪れた沖縄の自然や人々に魅了され、移住してからのことだった。その地での青果の商社への再就職がきっかけとなった。
仕事では、地元の生産者や県外の生産者と関わる日々。その中で、野菜作りの実情や苦労を目の当たりにした。
「みなさん本当に強くて明るいんです。天候の影響で突然何千万円の被害を受けることもあるんですから、前向きでないと農業はできないですよね。だから、私は生産者が苦労して作った美味しい野菜を世に出すために、販売者として何ができるのか、知恵を絞って考えました。」
そして、〈野菜ソムリエ〉の資格取得を決意。同じ時期、国内で野菜の産地偽造が発覚する事件が起こったり、また、沖縄県の健康寿命の低下が問題になっていたこともあり、社会での〈野菜ソムリエ〉への関心も一気に高まっていった。

それからは、農産物の販売促進も任され、全国各地を飛び回るようになった。自分の目で畑を見て、生産者と話をし、野菜を確かめる。一眼レフカメラで、生産者とその野菜を撮影し、商品ラベルやポスターも作った。とにかく、自分が間違いないと思う野菜を、どのように生活者につなげていくかを考える日々を過ごした。
その後はフレンチレストランの立ち上げにも関わり、気付けば沖縄での生活も丸15年に。一旦立ち止まり、これからの過ごし方を考える時期を迎えていた。

50歳を前に、初めて三原で仕事をしました

そんなとき、頭をよぎったのは、故郷三原で高齢となった両親のことだった。
「〈食を通じて笑顔と健康を創る〉が私のテーマ。もちろん、両親にも健康で長生きしてほしいと願っています。だから、健康寿命を長くするための食の提案を、今度は三原でやっていけたらと思い、5年前に帰ってきました。」
帰郷してみると、三原には美味しいものがたくさんあることを再認識した。そして、20代、30代の若い世代の生産者が頑張っている姿を目にし、彼らが活躍できる場所を作り応援したいと思った。それが現在の〈COCOLA3〉での活動にもつながっている。販売だけでなく、そこに至るまでの商品開発や販売ルートの提案など、マーケティングも助言。生産者の未来につながる支援を心がけている。

砂田の八百屋のような〈みはらびとマート〉を

そして、これからの夢は〈みはらびとマート〉を開くこと。
地元の生産者が作ったものを、様々な世代がコミュニケーションを取りながら購入することができる店だ。例えば一つの食材を、少量しか必要のない高齢の方と若い人がシェアできたり、必要な量だけを量り売りできたりと、人々の暮らしに寄り添った販売ができればと思っている。それは、まさに森塚さんが育った〈砂田の八百屋〉の姿そのもの。
「小さい頃は嫌だったんですよ。いつもお客さんに話しかけられるし、時には家の中にもお客さんがいて。でも、やっぱり血を引いているんだなと思います。」と笑顔で話す。
生産者の味方でもあり、生活者の味方でもあり、それらの橋渡し役でもある森塚さん。まさに三原の〈食〉のスーパーウーマンがここにいる。